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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1414号 判決 1949年12月14日

被告人

塚原雅彦

主文

本件控訴は之を棄却する。

当審に於て生じた訴訟費用は、全部被告人の負担とする。

理由

右第二点に付いて、

原判示各事実に誤認の廉が存しないことに関しては、論旨第一点に付説明した通りであり、延いては原審の審理に不審の点が存するとは、到底謂い得ない。而して起訴状に数個の訴因が予備的に記載されて居る場合に、裁判所か之を審理した結果、右数個の訴因の中孰れか一つに付いて有罪判決の言渡を爲した以上、夫れは其の反面に於て、爾余の訴因を排斥した趣旨も表明して居るものと解し得られるか故に、此の点に関し改めて判決理由中に其の旨を説明するの要は毫もなく、従つて之を見解を異にするか如き内容を規定する法も亦一として存しないのである。此の点に関する原判決の措置は全く右と同趣旨に出でたものであつて、洵に正当であり、原判決には此の点に関しても所論のような違法が存しない。之を要するに原判決には所論のような違法の廉が一も存しないので論旨は孰れの点からするも其の理由がない。

(註) 訴訟費用の負担については、刑訴第一八一條第一項を適用している。

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